これまでの記事で「未来の自分像」と「企業情報の収集」について触れてきました。
今回は、その集めた情報をもとに、「なぜその会社なのか」と「自分は何をもたらせるのか」を明確にする方法を紹介します。これは履歴書や面接での回答だけでなく、転職活動全体の説得力を高める基盤になります。
志望動機は“希望”ではなく“提案”として捉える
転職活動において、志望動機はただ「この会社に入りたい」という意思表示ではありません。
それは、あなたが「なぜその企業」でなければならないのか、そして、あなたがどのように価値を提供できるのかを示す重要なメッセージです。
つまり志望動機は、「自分の経験・スキルを使って企業の成長にどう寄与できるか」という提案書のようなものなのです。
なぜ志望動機と貢献内容を言語化する必要があるのか?
企業はあなたに、「業界の中で数ある企業の中から、どうして当社を選んだのか」を明確に知りたいと考えています。それはつまり、「自分のキャリアビジョンと会社の役割が重なるか」を判断する材料にもなるからです。
一方、自分の言葉で整理できていない志望理由は、誰の心にも響きません。また、「自分のどんな強みをどう活用して、この企業で価値を生み出せるのか」が曖昧だと、相手にも伝わりづらくなってしまいます。先行して整理しておくことが、転職を成功に導くカギとなります。
整理するステップ
ステップ①: WHY(なぜこの企業か?)
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企業理念や事業の方向性、独自性に共感したポイントを抽出
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業界内での立ち位置や強みが、自分の価値観やキャリアの方向とどこで交わるかを整理
ステップ②: HOW(どんなスキル・経験で貢献できるか?)
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過去の職務経験や成果を棚卸しし、具体的な数字やエピソードとともに書き出す
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企業が抱える課題や今後の目標に、その強みがどう噛み合うかを考える
ステップ③: WHAT(入社後に目指す方向は?)
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短期的にどう動き、どの分野で成果を出すのか
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中長期的にどんな役割やポジションを担いたいか
志望動機を形にする文章構造例(SHE型)
Point(結論)
「私は貴社の〇〇な姿勢に魅力を感じ、強みを活かして貢献したく志望しました
Reason(理由)
「なぜなら□□という背景があり、私自身も△△という価値観を大切にしてきたからです」
Example(具体例)
「前職では○○プロジェクトで実績をあげ、□□に貢献しましたので、貴社でも同様の取り組みでお役に立ちたいです」
Point(再結論)
「そのため、貴社で□□として貢献し、将来的には△△のフェーズへ進みたいと考えています」
このように構成することで、「なぜ応募するのか」「どう役立てるのか」「将来の方向性」が一つの流れで伝わります。
質を高めるポイント
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共感ポイントはできるだけ具体的に
(例:「御社の“地方創生”の取り組みに感銘を受け、自分の営業経験を活かせると考えました」) -
成果や強みは数値や事例で裏付ける
抽象的な自己評価よりも、数字や実績で語るほうが信頼されます。 -
未来の姿を企業の方向性とリンクさせる
自分の成長目標が企業の成長戦略に沿っていれば、採用側の納得感が高まります。
まとめ
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志望動機は「希望」ではなく「企業への提案」として構築する
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共感 → 貢献 → 将来像の流れで整理すると一貫性が出る
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数字・具体例・企業の方向性と組み合わせることで説得力が増す
こうして深く落とし込まれた志望動機は、単なる条件一致の転職希望者ではなく、「その企業に必要な人材」として認識されるきっかけになります。